新卒採用方法とは?

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インターネットやデジタル技術の発展、スマホの普及、就活ルールの改定など、さまざまな要素の影響を受け、新卒採用の環境は大きな変革期を迎えています。

新卒のバックグラウンドは「学生」であり「社会人経験なし」です。中途採用とは、適する採用手法が異なってきます。通年採用にシフトする動きはあるものの、絶対数の少ない層なので学生の傾向やトレンドのリサーチが欠かせません。

ここでは、新卒採用で取り入れられている主な採用手法から、注目度の高まっている新しい手法までご紹介します。

新卒採用と中途採用の違いとは?

新卒と中途にはそれぞれにメリットとデメリットがあます。どちらが良い悪いというわけではなく、それぞれのデメリットを補完する特徴を持ち合わせているようです。5つの要素について新卒と中途の違いを解説していきます。

■候補者の絶対数
新卒にあてはまる時期というのは、人材の人生の中でも一度きりです。中途採用は、20代から60代まで年齢層が広がります。必然的に新卒人材の絶対数は圧倒的に少なくなり、とくに少子化の影響を受けている昨今は新卒人材の争奪が激化しています。

■業務遂行力
中途人材は、業務も社会人としての経験も積んでおり、即戦力として活躍してもらえる期待値が高いです。個人差はありますが基礎的な内容についての育成コストは省けるでしょう。一方で新卒の人材は、入社初期に、業務はもとより、基本的なビジネスマナーなどの教育が必要です。

■雇用コスト(人件費)
中途採用は経験やスキル、年齢が高くなるほど給与水準が高めになります。ただし、早い段階で利益につながる成果を生み出してくれる期待も持てます。一方で、新卒者は、中途人材に比べると低い予算で雇用できるでしょう。新卒に教育コストをかけつつ、給与まで払っていくことは、企業にとっては将来への投資活動になるのです。

■企業文化の吸収力
中途はすでに、自分なりの仕事のやり方や価値観を確立していることが多く、前歴の企業の影響も抜けにくいことがあります。新卒のように若手であるほど、新しい風土を受け入れやすく、浸透しやすい傾向があります。時間をかけて自社に深い愛着や共感が根付いた人材に、将来の自社を担ってもらいたいという思いで、多くの企業が新卒人材を求めるのです。

■社内を活性化する要素
新卒人材は、業務的にも、社会人としても新人です。成長には周りのサポートや指導が欠かせません。先輩社員や上司は、新人を育成する中で自身を成長させていきます。中途人材は、自社にない技術、スキル、経験、ノウハウを持っています。自社のやり方やルールが尊重された上で、うまく新しい形で活かされれば、自社社員にとっても大きな学びや刺激となるでしょう。業績や成果にも良い影響をもたらすはずです。

主な新卒採用方法

では、新卒採用のための主な採用手法をご紹介します。中途に比べるとアプローチの幅が広いのも特徴です。

就職サイト

多くの学生が新卒向けの就職サイトに登録しています。就職先を探すときは就職サイトを活用するというのは、学生の間でかなり浸透した流れです。自社の求人情報を多くの学生に見てもらえる可能性があります。

Web上には、数えきれないほどの就職サイトが存在しているため、欲しい人材層に合ったサイト選定がポイントです。費用は、掲載料型、成果報酬型、無料のものもあります。

就職サイトは、掲載できる情報のフォーマットが画一的なので、大手や競合他社の情報に埋もれないための工夫が求められます。求人情報を掲載して応募を待つだけでは、応募が集まりにくい状況なので、企業側から学生を検索してスカウトできるサイトの活用もおすすめです。

ハローワーク

求人情報の掲載から採用に至るまで、完全無料で全国に公開できるのがハローワークの特徴です。ただし、掲載企業も多い中、求人広告はフォーマットが決まっており、アピール要素を盛り込むことが難しいです。完全に募集を待つスタイルになりますが、企業や仕事選びの経験のない学生が、どれくらい自社を理解して応募してくるか(=マッチ度)には不安が残ります。

大学就職課

各大学には、学生の就職支援をする部署が設けられています。大学内での企業説明会や求人票も受け付けられており、学生への紹介や斡旋も行われています。説明会の準備にいくらかのコストがかかったとしても、求人掲載や斡旋費などは発生しません。

とくに、専門知識を学んだ学生のいる学部のある大学とのコネクションがあると希望の人材との接点が確保できる可能性があります。ハイスペックの新卒人材は、一般の学生が活用するような媒体では見つけられないことも多いです。毎年度の活用を通じて大学との関連性を築き上げておくといいでしょう。

新卒紹介

人材紹介会社の中には、新卒に特化した紹介サービスを提供しているところがあります。

新卒採用は、中途採用とは採用活動のプロセスも、人材選考のポイントも異なります。また、近年は、新卒採用の市場は激戦化していますし、毎年のように学生の動向やトレンドが目まぐるしく変化しています。

とくに、新卒採用の経験やノウハウを持たない企業にとっては、新卒専門のプロは頼りになる存在でしょう。こういう人材が欲しいという要望に合う学生に絞り込んだ紹介が行われます。募集やイベントなど母集団形成のプロセスが省けるため、時間と工数の削減ができる方法です。

成功報酬型が多いので、採用に至らなければ費用はかかりません。ただし、報酬額は他の手法と比較すると高めです。

合同説明会

学生と企業の情報収集と接点の場となるのが合同説明会です。就職サイトや人材紹介サービス会社の主催の場合は、首都圏や都市部の開催が中心ですが、各地の商工会議所や労働局が主催する合同説明会もあります。出展費用がかかります。

企業選びが漠然としている段階の学生も多く来場します。まだ、自社を知らない学生に自社の存在を知ってもらえる機会となります。このときに学生情報を聞き出し、印象度の高いパンフレットを提供したり、SNSやWebサイトに誘導したりして、継続的な接点につなげるのがポイントです。

また、他社の出展の様子もわかるため、学生の動向や有効なアピール要素を掴むことができるでしょう。

ホームページ

もっとも自由な情報提供を可能にするのが自社で作るホームページです。ステークホルダーの誰もが見るコーポレートサイトの他に採用専用のホームページを持たれることをおすすめします。

求人サイトや就職サイトなどで企業を見つけたとき、少しでも興味が湧けば、学生は必ず企業のホームページをチェックします。その興味・関心を逃さず、サイト内で、就職活動中の学生が欲しがっている情報を届け、うまく入社意欲を喚起すること重要です。

自由にコンテンツを盛り込んで、自社の独自性を存分に表現することができます。他社との差別化が図りやすいため、各媒体と連動させておくことで、大きな情報の補完効果が見込めます。

インターンシップ

1~2日の短期のインターンシップが可能になったことで、企業も学生も、活動の中にインターンシップを組み込む流れが浸透してきています。採用前のインターンシップの参加者獲得競争も激しくなっているようです。

オンサイトで自社をより深く知ってもらい、印象づける効果の高い方法です。多くの学生とのはじめの接点を作り出し、その後の継続的接点につなげることができます。通年採用やアプローチの早期化の動きがあるので、対象学年を幅広くして実施していくのも一つの有効手段になっていくでしょう。

注目されている新しい採用方法

採用手法が多様化し、学生の就職活動のトレンドも常に移り変わっています。ここから、近年、注目されるようになった比較的新しい採用手法をご紹介します。

ダイレクトリクルーティング

求人サイトやハローワークは登録者の応募を待ちますし、人材紹介サービスを利用しても、紹介を待つ形で進みます。かつて主流だった採用手法の効力が下がり、待っているだけでは集まりにくい状況が続いています。

そこで、仲介を入れずに、企業から直接、欲しい学生に積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングを行う企業が増えています。間に何も入れず、自社で採用活動のすべてを行うため、工数は増え、時間もかかります。自社に採用ノウハウやスキルを蓄積する必要もあります。

しかし、広告掲載料や紹介料は不要になります。スカウトを前提としたダイレクトリクルーティング専用の人材データベースサイトも増えてきています。FacebookやLinkedInなど個人情報が手に入りやすく、直接接点が築きやすいこともダイレクトリクルーティングの浸透を後押ししています。

人工知能の活用

企業と学生とのマッチングを測るために、人工知能を活用することへの関心や注目度も高まっています。

蓄積された学生のデータベースの中から、企業にマッチする学生を抽出し、コンタクトを取るところまで自動化したシステムも登場しています。単なる学生の登録情報でなく、企業検索のリサーチ履歴、類似企業のオファー履歴など行動データを機械学習によって選定を行うというものです。

また、オンライン上での一次面接や適性診断をAIが対応、マッチング分析から通過/不通過の判断までAIに任せ、初期工程を省いている企業もあります。技術発展によって、今後も採用市場には、人工知能活用が広がっていくでしょう。

Web説明会・Web面接

学生の絶対数が減っています。近隣に住む学生だけでなく、遠方の学生にも対象枠を広げなければ十分な数が確保できない企業も多いです。その場合に、企業と学生の時間とコストの負担を軽減し、接点を作るハードルを下げてくれるのが、Webシステムの存在です。オンラインでの会社説明会や面接の実施は急速に浸透しています。

企業にとっては、国内外の学生にアプローチできる有効手段です。交通費も不要、スケジュール調整も簡単になるため、場所の準備も要りません。そのため開催や接点の頻度を上げることができます。欲しい学生とのコミュニケーションをより充実させることができるでしょう。

ミートアップ

就職や採用の堅苦しいイメージを払拭したミートアップを取り入れる企業も出てきているようです。

自社社員と学生が交流する形で行う、自社を知ってもらうための気軽な食事会やトークイベントです。とくに、ITエンジニアの領域では活発に行われているようです。開催告知はSNSなどが使われ、告知の拡散はもとより、参加後の感想などによる自社情報の拡散も期待できます。

参加してくれる学生の中に、欲しいん人材がいたらアプローチできます。企業と学生がより自然体で出会えるので社風などが伝わりやすい採用手法です。参加してくれる学生の中に、欲しいん人材がいたらアプローチできます。企業と学生がより自然体で出会えるので社風などが伝わりやすい採用手法です。

ソーシャルリクルーティング

多くの学生がFacebook、Twitter、InstagramなどのSNS媒体を日常的に使っています。企業の情報発信の場として、SNSに自社アカウントを作って採用に活かしていく動きも広がっています。

サイトやメールとなると、閲覧の意志が必要ですが、SNSであれば使用頻度によるとは言え、何気なく目に留めてもらえる可能性が高くなります。また、友人の配信を見るような感覚で気軽にサクッと閲覧できるハードルの低さもメリットです。コンタクトや問い合わせをしてみることへの抵抗感も少ないようです。

日常的なコミュニケーションツールですから、興味を持ってもらえたときの、その後のやり取りの反応もスムーズになり、つながりを強化する手段としても有効です。

逆求人採用

逆求人採用とは、上記のダイレクトリクルーティングの一環です。これまでは企業が求人広告を出し、求職者が興味のある求人を見つけて応募するという流れが主流でした。近年、その逆バージョンとなる逆求人サイトやイベントが増えてきています。

求職者(新卒の場合は学生)が、自己アピールを広告として公開し、企業が興味のある人材にスカウトやオファーをするという流れのサービスサイトです。逆求人イベントの場合、合同説明会のように企業や学生が集まるわけですが、学生側の自己アピール時間が与えられたあと、ディスカッションや個人面談などを通して企業が選考に進むオファーを送る形式が取られます。

登録・参加の前の審査を受け、通過した学生が対象となる場合が多いため、意識や質の高い人材との出会いが見込めます。

新卒採用における3つのフェーズ

新卒採用には3つのフェーズがあります。ここで、それぞれのフェーズの特徴を解説していきます。各フェーズの中でどのようなことが実施されているのか、どのような点を意識すべきかを確認していきましょう。

母集団形成

採用活動の基盤づくりとも言えるのが選考のための母集団を形成することです。エントリーや応募を集めるための活動にもさまざまな種類があります。たとえば、求人サイトへの広告掲載、合同説明会などイベントへの出展、インターンシップやセミナーの開催などです。

中小企業やベンチャーで知名度が低い場合は、認知度を上げることから取り組まなければならず、大手企業の存在に苦戦を強いられる傾向があります。興味を引き、入社意欲まで喚起できる内容の施策が必要です。

闇雲に集めると、次の選考フェーズの工数が上がることにも注意が必要です。数より質の確保を狙って効率的な採用活動を目指しましょう。

選考・面接

現在は、ほとんどの学生が複数の企業に応募して、並行的な就職活動をしています。応募まで学生を引き込むことができても、まだ学生の選考は続いており、選考途中や内定を出したときに辞退される確率は高いです。

自社は、選択肢の一つでしかなく、学生が検討中であることを認識した上で、その検討を手助けするスタンスを持つことも大切になってきます。具体的には、コミュニケーションは密に取り、対応や結果の伝達をできるだけ迅速にするといった対策が必要です。面接などの対応が不適切だと、良くない口コミが広がり、採用プロセス全体に影響を与えることもあるので注意しておきましょう。

内定者フォロー

売り手市場の昨今、多くの学生が複数の企業からの内定を獲得しています。企業が内定を出す時期になると、学生にとっても最終の決断期。企業にとっても絞り込んできた最適人材のはずですから、内定辞退を回避するために、内定通知・承諾から入社までは最優先でフォローをしていきましょう。

内定確定後の学生は、新しい生活を前に何かと不安を抱えやすい時期でもあるため、疑問や質問をすぐに解決できるようなコミュニケーション手段を取り入れておくことをおすすめします。定期的なコンタクトはもとより、社員との交流会を開催したり、入社してから役立つような学習ツールを提供したりすると、入社後の心的負担を軽減できますし、モチベーションを向上させる効果も期待できます。

まとめ

主流の手法、人気の手法、新卒採用にはさまざまな方法があります。重要なのは、自社にフィットした手法を取り入れて、質の高い使い方をしていくことです。また、オンラインを使ったあらゆる手法、媒体、ツールをしっかり連動させることもポイントになります。

採用オウンドメディアを持って、採用の要として活用されてみてはいかがでしょうか。新卒採用をスムーズに進めることに大きな貢献を果たすツールです。

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