中小企業が新卒採用を成功させるコツとは?
学生の多くは大手企業へ就職を望んでいるため、中小企業の新卒採用は苦戦を強いられているのが現状です。ここでは、中小企業が新卒採用を成功させるコツについてまとめてみました。
もくじ
中小企業と大手企業の新卒採用の違い
投じる予算
中小企業と大手企業では、新卒採用のために投じる予算は大きな差が出ます。大手企業の場合、新卒採用にもそれなりの予算を組めます。また、予算があるからこそ学生たちに様々なアプローチが可能です。
例えば自社サイトでの求人募集や求人のためだけの宣伝材料の作成など、中小企業の予算規模ではできないことを次々と行います。学生の就職イベントにも積極的に参加できますし、その際に配る資料だけではなく、設置するブース等でも予算のおかげで豪華なものを用意できます。
それらを目の当たりにした学生たちは、「やっぱり大手の方が良い」という印象を抱くことでしょう。予算の違いは、予算がかけられている部分を目の当たりにした学生の印象の違いとしても現れます。
中小企業における大卒求人倍率は厳しい
昨今、世代を問わずに生産労働者不足です。そもそも、国内の人口分布図として少子高齢化が顕著で、かつ加速している現実を考えると、今後人手不足が解消されることはなく、悪化していくことが予想されます。
しかし少子高齢化による労働者不足は、求人市場において売り手市場の形成を意味するのです。学生としても自らが売り手市場側、つまりは「選べる側」であることを分かっているので、できれば大手にとの指向が高まっていることから、大手の求人倍率はまだまだ大手側の買い手市場を意味する数字となっています。
リクルートホールディングス傘下、リクルートワークスの調べによると、中小企業に関して求人倍率が厳しさを増しています。従業員5,000人以上の企業の求人倍率は0.42倍であったのに対し、300人未満の中小企業の求人倍率は8.62倍。 如何に中小企業が新卒者から「働きたい」と思われていないのかが分かる、厳しい数字と言えるでしょう。
引用元:日本経済新聞
新卒の就職観
新卒の学生たちは、ネットネイティブと呼ばれる世代です。生まれた頃から既にインターネットが当たり前の様にあった世代は、分からないこと、興味のあることはインターネットを活用して調べることが当たり前です。
就職活動における企業はもちろんですが、就職状況、景気情勢等もしっかりと調べます。そのため、大企業が買い手市場であり、中小企業が売り手市場であることも把握しています。
また、大企業と中小企業の収入を含めた待遇の違いもリサーチ済みです。金額面だけではなく、残業、有給休暇の取得等、大企業の方が「働きやすい環境」だと認識していますので、大企業志向が強まっています。
中小企業が新卒採用を成功させる方法
学内の就職説明会へ出展
学校外での就職合同説明会だけではなく、学内の就職説明会への積極的な出展も大切です。学外での合同就職説明会はあくまでも学生の任意のイベントなので、都合が悪くて参加できない学生もいます。学生側としても、就職合同説明会は何度も行われるので毎回参加する必要がないとの意識も。
特にそれらのイベントの場合、交通費がかかりますので、毎回のように参加するのは負担でもあります。その点が区内の就職説明会は、学生にとっては気軽に参加できるものですし、学校まで来てくれる点で、企業に好印象を持ってくれるでしょう。
企業側としては学内の就職説明会よりも、就職合同説明会に出展した方がより多くの学生たちと顔を合わせられると考えてしまい、学内よりも学外のイベントを重視する傾向にあるのですが、学生側の気持ちを考慮すると、学内の就職説明会は学生たちに良い印象を与えるチャンスです。
インターンシップの開催
インターンシップを積極的に開催することも大切です。中小企業の場合、インターンシップの受け入れ態勢が整えられていないところも多いことでしょう。しかし、実際に「現場」を見てもらうことで、中小企業に抱いているイメージを変えることができる可能性もあります。
基本的に、学生たちは中小企業よりも大企業に良い印象を持っていますが、それらはネット等による情報です。決して自らの目で見たものではありませんし、実際に職場・現場を体感した訳でもありません。
また、学生たちはインターンシップそのものには前向きです。就職活動の一環として、大企業・中小企業を問わずに経験を積んでみたい気持ちは持っていますので、インターンシップの受け入れ態勢を整え、学生たちを迎え入れることで持たれている偏見を解消できる可能性があります。
企業オファー型媒体の活用
逆求人サイトとも呼ばれている媒体も積極的に活用したいところです。かつて就職活動といえば学生が企業側にアピールするものでした。しかし、それはあくまでも学生が多い時代、企業が学生を選べる買い手市場の時代の話です。
売り手市場が形成され、かつ中小企業にとっては売り手市場が加速している中では、学生からのアプローチを待っていては取り残される可能性もあります。そこで企業オファー型媒体です。学生としても、企業からのオファーをもらって嬉しくないことはありませんし、オファーをもらうことで興味を持ってくれる可能性もあります。
オウンドメディアの活用
オウンドメディアの強みはネット媒体での強さです。学生が就職活動の際に用いる言葉をSEOにより網羅することで、学生からのアクセスを増やし、自社をアピールできます。
もちろんただ単にアクセスを増やすだけではなく、オウンドメディアを通して自社のアピールが可能ですし、オウンドメディアは競合他社との違いも上手くアピールできますので、自社の強みを特徴することで、学生たちの囲い込みも可能になります。
新卒採用を成功させるポイント
求める人物像を明確にする
「やる気のある人」「向上心のある人」といった言葉は、使う側としては間違いではなく、かといって核心を突いたものではない都合の良い言葉ですが、受け取る学生側は、それらの抽象的な言葉には魅力を感じません。
むしろ昨今の学生とすると、「本当のことを言えないから隠しているのではないか」といった猜疑心を抱く可能性すらあります。
そこで、どのような人物を求めているのかは、より具体的にした方がよいでしょう。
「やる気のある人」ではなく「3年以内に支店長を目指したい人」など、具体的であればあるほど、学生たちへの訴求力は高まります。誤魔化そうとするよりも、一歩踏み込んだ方が学生たちの心に響くことでしょう。
社員の協力体制を整える
求人は基本的には人事・採用のお仕事ですが、社員一丸となって協力体制を整えることも大切です。社員一丸となって学生たちに歓迎ムードを出せるか、あるいは一部の部署だけで頑張っているのかで、学生たちへの訴求力は異なります。
学生側も、会社全体で歓迎してもらえている方が好印象を抱くことでしょう。人事・採用以外の部署の社員にとっては「なんでうちらがそんなことを」と思うかもしれませんが、人材確保は部署だけではなく、会社全体の問題なので、会社全体での協力体制が不可欠です。
仕事のやりがいを伝える
仕事のやりがいをより具体的に伝えることも大切です。昨今の学生たちは、給料はもちろんですがやりがいも重視しています。仕事を通して、給料以外の面でどのような満足感が待っているのかを重視する学生は増えています。
むしろ給料よりも、やりがいを含めた職場環境を重視する学生も多いので、「やりがいがあります」ではなく、より具体的にどのようなやりがいがあるのかを伝えることも学生へのアピールとなるのです。
早めに学生に接触する
これまで就職活動は経団連が定めたルールの中で行われていました。しかし、21卒からは就職活動のルールが廃止され、自由競争の時代に突入します。そこで求められるのが学生との接触のタイミングです。
これまでであれば、就職解禁と同時に就職合同イベントが開催されるなど、学生たちだけではなく、企業側も「横一列」からのスタートでしたが、これからは企業側も就職活動に於ける努力が求められることになります。先にお伝えしたようなツールを駆使し、積極的に学生と接触することが求められます。
まとめ
現実的に、中小企業が人材を集めるのは簡単ではありませんが、だからといって何もしなければ状況は変わりません。できることから行うことが大切ですが、すぐにでも行えるという点ではオウンドメディアが挙げられます。
実際、近年は採用のためのオウンドメディアを持っている企業も増加。自社の魅力を発信できるツールの有無は、学生へのアピールに直結する部分ですので、「中小企業だから無理」ではなく、中小企業だからこそ様々な工夫を通して人材を確保することが求められます。