外国人採用をするメリットとは?
外国人の採用について、条件の規制緩和とともに、審査や監視の体制整備が強化されました。すでに、外国人の雇用が珍しいものではなくなり、今後も増えていくことが見込まれます。今回は、外国人採用のメリット・デメリット、外国人を採用する際の注意点についての解説です。
もくじ
増えている外国人へのニーズ
日本人の人口は減少傾向にあります。総務省によると2019年は1億2,632万人(※)という統計が出ています。しかし、すでに少子高齢の人口構造が顕著で、2040年を過ぎる頃には、1億人を下回るものと予測されています。
さらに、生産年齢人口も深刻な減少傾向が見られます。現在の人口構造の中でも割合の大きい団塊世代や団塊ジュニアの世代が高齢化していくからです。つまり、企業運営に不可欠な「人」の確保が難しくなります。人が確保できなければ、企業の存続も危ぶまれます。経済を回し、繁栄させる企業が減少すれば、国の繁栄も国際競争力も低下する恐れがあるのです。
国内でも女性やシニア層の活用が進んでいますが、そもそもの総人口も減っています。社会のグローバル化は、日本人の国外への流出を促しています。もはや、他国から労働力を調達することも視野に入れなければならない状況になっているのです。
総人口の減少による、企業の対象マーケットの縮小も懸念されています。海外にも市場を拡大しなければ、企業の成長や繁栄が難しい時代になってきています。海外展開を視野に入れる企業も増えています。
海外市場の消費者は、日本人とは価値観もニーズも異なります。やはり、現地をよく知る人材、もしくは、展開する地域との意思疎通やマーケティングに長けた人材が必要です。日本国内のグローバル人材も不足していることから、外国人人材へのニーズがより高まっています。
この状況は、一般企業でもスタンダートになれば、日本人社員が外国人との協働の術を学ぶ必要があります。そのため早いうちから「外国人とともに働く環境」を整備していくことが望まれます。
※参考: 総務省 人口推計
外国人を採用するメリット・デメリットとは?
外国人を採用するメリット・デメリットを紹介します。
メリット
外国人を採用することによるメリットは、十分な労働力を確保することだけに留まりません。目的の幅を広げ、日本企業にとっての外国人人材の価値を有効活用していきたいところです。
多言語対応が可能
とくに外国人人材の中には、3ヶ国語以上の言語を使えるマルチリンガルも少なくありません。そのような人材がいれば、多くの国のお客様への対応が可能になります。また、取引先の経路も各国を広げられるため、技術的な向上も期待できるでしょう。
若い労働力の確保
日本人の若手人材の数は減少傾向にあり、企業間の人材の争奪も激しくなっています。外国人を採用することで、人材不足を解消できる可能性があります。組織の年齢層のバランスを保つことや、現状の優れた技能やスキルを継承する手段の一つになるでしょう。
グローバル化に対応できる
海外展開をしている、もしくは将来的な海外展開を視野に入れているのであれば、外国人採用が有効です。現地の特質を踏まえたマーケティングや事業戦略、現地の人材育成など事業運営のいたるところで頼りになる存在です。
新しいアイデアが生まれる
外国人人材の価値観や視点は、日本人とは異なる歴史や文化、育った環境の影響を受けています。日本人では気付けない問題点を発見したり、斬新なアイデアを持っていたりするものです。
グローバルステージで勝ち抜いていくためにも、常に新しい価値創出が求められる時代。日本人の発想との融合で新しい価値を生み出す力を組織にもたらしてくれる期待が持てます。
デメリット
外国人採用を行うデメリットを見ていきましょう。
文化の違い
文化が違えば、コミュニケーションのあり方も違います。単なる言葉の壁だけに留まりません。
日本人で当たり前に取り交わされている「あ・うんの呼吸」や「慮る」という概念が外国人にはありません。はっきりと、具体的に、正確な意思の伝達が求められます。この点は、企業対外国人人材だけでなく、個々の社員対外国人人材レベルでクリアしなければならない必須の課題です。
コミュニケーションは日常的に発生します。コミュニケーションが成り立たない場合、業務が停滞するばかりか、社内に誤解や不信感が蔓延する可能性もあります。外国人人材に日本の慣習の理解を促すとともに、日本人人材の異文化教育も必要です。
日本人求職者の仕事が減る
自社で外国人採用によって人材を確保することは、日本人求職者が就労する機会を奪うとも考えられます。しかし、現状は日本人の確保が難しくなっているため、やむを得ないことかもしれません。
外国人を採用する際の注意点
外国人労働者を迎え入れる際に、注意しておくべき点を説明します。
文化や習慣の違いを受け入れる
外国人人材と日本人人材が、お互いに自分の価値観を押し付けない文化を創り出す必要があります。日本人には、海外経験などがなく、外国の人と接する機会が少ない人が多いです。そういった人たちは、あらゆる「違い」に否定的な捉え方をする傾向があります。違いを尊重し、活かしていくという意識を持つことが大切です。
差別的な待遇をしない
かつて蔓延していたのが「外国人労働者=安価な労働力」という捉え方です。現代は、法律や制度の面から見ても、そのような見方は通用しないものとなっています。そういった考え方にならないよう、全社をあげて認識を正常化しておくことが大切です。
就労資格の有無
外国人人材を雇用するには、就労ビザ(日本で働くための日本国からの認可)が必要です。就労ビザの取得には、一定の要件が定められており、人材によっては認可が降りないこともあります。
事前の調査を徹底しましょう。就労ビザなしの雇用は違法となり、企業にペナルティが課せられます。
外国人社員のキャリアアップを考える
外国人人材にもキャリアアップの機会を与え、その仕組みを整備しておくことが大切です。高いパフォーマンスで働いてもらうためにも、キャリア支援は重要となります。くれぐれも、その場しのぎの労働力確保で終わらないようにしましょう。
日本で培った能力やスキルを将来的に自国に戻ってから活かすというプランを持つ人材もいます。組織の将来を計画する上でも、個々のキャリアプランを把握しておく必要があるでしょう。
責任者を選任する
外国人労働者を常時10人以上雇用する企業は、必ず「外国人労働者雇用管理責任者」を選任しなければなりません。責任者には、外国人労働者に対する一層の理解と知識が求められます。フォローやケアを充実させ、外国人に働きやすい職場環境づくりに努めることが大切です。
外国人が日本で働きたいと思う理由とは?
日本で働きたいと思う外国人は少なくありません。ここで、外国人が日本で働きたいと考える主な理由をご紹介します。
給料が良い
母国の経済水準によっては、日本で働いたほうが、給料が高くなる国の人材がいます。収入が多くなることが、日本で働く理由になる外国人人材もいます。
日本の文化が好き
日本のマンガやアニメの影響で、日本が好きになる外国人が増えているようです。また、日本のマナーやサービスの質は、日本人が自覚しているより高品質かもしれません。日本や日本人の特質に対しての、興味や関心が高まり、就労意欲につながっている人もいます。
若いうちに海外でキャリアを重ねたい
キャリアステップとして日本を選択する外国人も増えています。そもそも、あらゆるビジネスのグローバル化が進んでいます。若いうちに外国での生活や仕事を経験していることは、どの国の出身者にとってもキャリア上のアドバンテージとなるでしょう。
テクノロジーが発展しているため
高度成長期を経て、日本は世界に誇る技術を擁する国として認識されてきました。その技術を現場で学び、吸収していきたいと希望する外国人も多いです。
まとめ
人手不足の状況もあり、日本企業の外国人のニーズは高まっています。かなり広い層になりますが、優秀な人材を確保することが大切になってきます。採用前は、距離的な障害もありますし、日本人の採用プロセスと同じでは難しいかもしれません。
採用オウンドメディアを持つことで、発信する情報の自由度が上がります。外国人人材が自社について深く理解できるよう発信内容を工夫することも可能です。自社とマッチした人材を確保するためにも、採用オウンドメディアの運用を検討されてみてはいかがでしょうか。