外国人を採用する際に注意すべきポイント

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外国人労働者の数は146万人(平成30年10月時点)を超え、今後も加速度的に増えていく見込みです。外国人採用では、日本人を採用するときとは異なる手配が必要になります。ここでは、外国人を雇用する企業が注意しておくべきポイントを解説します。

在留資格をチェックする

外国人を雇用する場合は、何よりも先に、在留資格の確認が大切です。

在留資格とは、外国人が日本に滞在するために不可欠なものです。入国管理法では、20種類以上の(※)の在留資格が設定されており、それぞれの滞在目的に応じて申請し、国からの認可を受ける必要があります。

在留資格なしで入国している人はもちろんのこと、就労ができない在留資格の保持者は日本で働くことができません。認可には期間が設けられており、その期限を過ぎた滞在も違法となります。

以下に、滞在中に就労が認められる在留資格と、認められない在留資格をまとめました。

在留資格の種類

「在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格」
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習、特定活動

「就労が認められない在留資格」
文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在

「就労活動に制限がない在留資格」
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

参考: 外務省 [在留資格・ビザの種類]

在留資格の確認方法

在留資格を確認できるものは3種類あります。

「在留カード」
在留資格が認可されるときに渡される身分証です。国籍、顔写真、氏名、生年月日、在留資格の種類とその期限が記載されています。在留資格保持者には、常時携帯が義務付けられています。

「パスポート」
日本に入国したときの許可印とともに在留資格が記載されます。ただし、入国後に在留資格が変更されることもあるため、同時に在留カードを確認するのが確実です。

「就労資格証明書」
就労資格証明書は、日本滞在中にどのような就労を行うことが認められているかが確認できる書類です。この中にも在留資格と、その期限が記載されています。

資格外許可

上記で挙げている「就労が認められない在留資格」の中には、あらためて「資格外活動許可」を取得することで、制限付きで就労が認められるものもあります。

たとえば、「留学」で滞在している留学生、「家族滞在」で滞在している外国人などがあてはまります。
この場合、原則として一週間に28時間以内、留学生の長期休暇期間中は一日8時間以内という制限があります。複数のアルバイトを掛け持つような場合にも、勤務時間が通算されることにご注意ください。

外国人を雇用する際の手続き

続いて、外国人を雇用するときの届出・手続きについて解説します。常用雇用であれば、日本人と同じく、社会保険に加入する手続きが必要です。

雇用保険については、外国人人材の雇用状況により、雇用保険の対象者か、そうでないかで準備する書類が異なります。

雇用保険の対象となるのは、国籍に関わらず、以下の2つの要件を満たす人です。

  • 一週間の所定労働時間が20 時間以上
  • 31 日以上の継続的な雇用見込みがある

ただし、外国人の中には、他国の失業保障制度に加入している人もいます。その場合は、日本の雇用保険の対象外となるため事前確認が必要です。

雇用保険の対象となる場合

雇用保険の対象になる場合は、日本人を雇用するときと同じように「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。提出先はハローワークです。その際の書面の備考欄に、国籍、在留資格、在留期限、資格外活動許可の有無の記載が必要となります。

雇用保険の対象にならない場合

短時間のアルバイトなど、雇用保険の対象とならない場合は、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書」をハローワークに提出します。氏名、性別、国籍・地域、生年月日、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無、雇入れの期日などの記載が必要です。

また、「外国人登録証明書またはパスポート」「資格外活動許可証または就労資格証明書」の2種類の添付が求められます。

履歴書・職務経歴書

外国人が応募の際に提出する履歴書や職務経歴書の内容は入念な確認が必要です。職歴、業績、給与などについて、大きく盛った情報が記載されていることがあります。また、取得資格についても、証明書の提出を求めるとともに、証明書が偽装されたものでないかをチェックしておいたほうがいいでしょう。

個人の信頼性を測る上でも、選考段階で詳細にヒアリングされることをおすすめします。できる業務についても、これまでの経験などを詳しく質疑して可能範囲をできるだけ正確に把握しましょう。たとえ悪気はなかったとしても、人材自身が過信や過大評価している可能性があるからです。

契約期間

有期労働契約の場合、原則として3年間という雇用期限が法律で定められています。特例が適用される場合でも5年間が最長です。日本人が更新する場合は、無期契約(つまり、正社員)への転換が必要です。外国人にも適用されますが、個々の在留資格自体に期限が設けられていることがあるため、個別に把握する必要があります。

自社の契約更新や契約解除の基準を明確にしておきましょう。期限が近づいたときになって、トラブルにならないよう、外国人を雇用する前に説明し、理解と合意を得ておくことが大切です。

外国人に関して知っておくべきポイント

外国人に対する曖昧な表現は禁物です。誤認や誤解が生じてのちにトラブルが発生したり、不満が生じて早期離職を招いたりする恐れがあります。

日本人は、曖昧にすることで和を保とうとする文化背景を持つため、思っているより強い意識が必要かもしれません。主張ははっきりと、指示は目的を添えて具体的に、「YES」か「NO」かも明確に伝えるように心がけましょう。

日本人にとっては、ごく自然で当たり前のことでも、外国人にとっては、理解しにくい慣習も多く存在します。わかりやすくリスト化するなどして、理解を促しておきましょう。また、取り決めや合意した内容についても書面に残していくことをおすすめします。

不法就労が判明したときは?

外国人労働者の増加に伴い、不法就労に該当する外国人の数も増加傾向にあります。万が一、自社で雇用した外国人の不法就労が判明した場合は、すぐに是正措置を取らなければなりません。出勤停止を命じ、就労可能な在留資格を申請します。すでに違法性がある外国人の資格申請は、審査も厳しくなると考えられます。認可が降りなかった場合は、解雇するしかありません。

不法就労の違反対象者は、外国人本人だけではなく、雇用者である企業にも責任が問われます。違反がある場合には、罰則が設けられているので、法令遵守を徹底しましょう。

まとめ

外国人を雇用するにあたっては、注意すべきことや準備することがたくさん出てきます。まずは、法に則って、違反のないようにすることが大切です。一定の準備が必要とされる上に、違法やミスマッチで早期退職となってしまっては、損失も大きいものとなるでしょう。

採用オウンドメディアなどを活用して外国人人材に詳しい説明を届ければ、きちんと相互理解を図った上で雇用することができます。言葉だけではわかりにくい要素も、画像や動画などを使ってビジュアルで表現することで理解を促すことも可能です。そういった配慮がなされていることが、企業の信頼性や安全性を伝えることにもつながります。

マッチした人材を採用するためにも、採用オウンドメディアの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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