優秀な人材を見つられるインバウンドリクルーティング
採用に苦戦を強いられている企業が多い中、本当に必要な施策に注力してインバウンドリクルーティングに成功している企業があります。Web媒体の特質を最大限に活かし切れれば、ひとりでに回っていく採用プロセスの実現も可能かもしれません。ここでは、インバウンドリクルーティングのメリットやポイントをお伝えします。
もくじ
インバウンドリクルーティングとは?
ひと昔前であれば、応募者が勝手に集まってくる仕組みなど想像できなかったと思います。人手不足の現在にあっては、はじめの母集団形成が第一の課題という企業も少なくありません。いったい何が、インバウンドリクルーティングの広がりや実現に寄与しているのでしょうか。まずは、インバウンドリクルーティングがどのようなものなのかから説明します。
インバウンドの意味
インバウンドという言葉はメディアで頻繁に目にするようになりました。主に訪日外国人旅行者に対して使われていますよね。この場合のインバウンドとは、日本国に海外から来るものを指しています。
日本を起点として、そのベクトル(矢印)が内向きなのでイン(in)。日本人が海外へ行く、旅行する、海外からモノを買うなどは、日本を起点にしてアウトバウンドとなります。
本稿のテーマは、インバウンドリクルーティングですが、このインバウンドは、上記のインバウンドとは少し意味合いが異なります。このインバウンドは、マーケティングで使われます。
わかりやすくするために、対照語となるアウトバウンドから説明します。マーケティング上のアウトバウンドとは、広告や宣伝を積極的に行い、売り込むことです。したがって、ここでのインバウンドは、その反対。何らかの働きかけをしなくても、相手(顧客)のほうからこちらに向かって動いてくれる(購買、申込み、参加、応募など)ことを指します。
つまり、インバウンドリクルーティングとは、企業が何らかの求人活動やアプローチをしなくても、「この会社で働きたい」と思う応募者を創出し、候補者が入社を目指してアクションを起こしてくれる流れを持つ採用方法です。
インバウンドマーケティングが注目されている理由
インバウンドリクルーティングが、なぜ注目されるようになったかというと、採用活動で、企業のマーケティングの概念を応用できる部分が増えたからです。
事業上のマーケティングは消費者やユーザーを対象に行います。口コミが存在したり、企業のブランドイメージがあったり、企業と消費者とのコミュニケーション手段も関係します。その消費者の購買の方法や流れと、求職者の求職活動の方法や流れが似ているのです。とくにインターネットの存在は大きいですね。
たとえば、車はA社、パソコンはB社、化粧品はC社など、決めている消費者もいますよね。新しい何かを買って使おうと思うとき、なんとなくよく聞くD社が浮かんだり、知名度の高いE社の通販サイトを見たりしませんか?会社のイメージが、買ってみようかな…につながることは意外に多いのかもしれません。このとき、直接的なアプローチがなかったのであれば、A社~E社はインバウンドマーケティングに成功していることになります。
もちろん、消費者と企業は継続的に並行関係であり、求職者は、企業にとっていずれ企業に取り込んで(社員になる)同化していきたい相手。この点を区別することも大切ですが、採用の領域でも、働くなら○○社とインバウンド的現象を起こせるようになってきているようです。
情報発信をし続ける必要がある
インバウンドリクルーティングを実現していきたい場合は、自社の採用サイトでしっかりと情報を発信「し続ける」ことが大切です。
現代の消費者はモノには満たされているため、消費活動にそれ以外の価値を求めます。消費者やユーザーの共感や信頼感を得て、購買という次のアクションを喚起する必要性が高まっています。どのようにしてその商品を売るか/買ってもらうかではなく、どうやって共感や信頼感を得ていくかが企業の業績を左右するようになってきているのです。
サポートの良さが印象に残ったことが、次の買い替えに影響を与えたり、企業に対して何らかの良くないイメージを持っていると、安くても買わない…となったりします。
困ったことに、このジャッジメントの基準は一人ひとり異なります。その一人ひとりのニーズ、趣向、動向に対応していこうとするのも、現代のマーケティングの特徴です。それを可能にしているのが、インターネットやデジタルの存在です。オンラインでの継続的なコミュニケーション、信頼関係やロイヤリティの醸成や、時間をかけて顧客化やリピート化を目指す育成(ナーチャリング)が、ものを言う時代に突入しています。
似たようなことが採用市場でも起こっています。大企業、すごい業績だけは、消費者止まり(同化はない)でしょう。しかし、求職者の中には「この会社で働きたい」と強く希望する人がいます。その思いにたどり着くまでには、企業についてのあらゆる情報に触れて感動や共感を経験していることが多いです。次第に自分の将来と企業のそれを重ね合わせてイメージしていくのです。
そして、自ら求人が出ているかどうかを探し、もしくは、フォローすることで情報を常にキャッチアップして、企業の求人に応募するという流れができあがります。
インバウンドリクルーティングのメリット
インバウンドリクルーティングのメリットを確認しておきましょう。
マッチング精度の高い人材から応募してくる
インバウンドリクルーティングでは、その企業で働きたいという「ファン」が集まってきます。ほぼ、ひとりでにといっても過言ではないでしょう。
なぜ、ファンになったのでしょう。
なぜ、応募までするほどになれたのでしょう。
ファンとは、どういう行動をするものだと思いますか?
企業のことをとことん知り尽くしている可能性があります。応募する頃には、かなり理解度が高い人材であると考えられるのです。ファンでも、働く場所としては違うと思えば応募はしません。その判断も、継続的に情報をチェックしているからこそできる適切な判断なのです。
応募してくる人材のマッチ度が高ければ、選考でさらに高いレベルの精度に高められます。マッチング精度の高い人材が入社すれば、早期離職の可能性はかなり低くなるでしょう。
離脱率や辞退率が低い
インバウンドリクルーティングで応募してくるのは企業をよく知るファンです。無理強いも売り込みによる誘導もなしで、自分の意思で応募してきます。多くの自社情報に触れて、よく吟味されているため、応募段階からマッチング精度も高いです。選考中の離脱や内定辞退が発生してしまう可能性も、とても低くなる期待が持てます。
ですから、詳しく発信する採用サイトやオウンドメディアでは、嘘や誇張した情報を植え付けないことも大切になってきます。
受け手である求職者のことを考えることが重要
インバウンドリクルーティングでは、候補者にとって必要な情報を発信することが大切です。押し付けることなく、候補者がもっと知りたいと思えるような発信を心がけましょう。
押し付けないこと
発信する情報に「押し付け」が含まれないように気をつける必要があります。押し付け、もしくは、候補者が押し付けと感じるような情報発信であれば、それはもはやインバウンドではなくアウトバウンドになります。
インバウンドは、候補者に必要な情報を届けていきます。ほしい内容であれば、人は見たい、読みたい、知りたいと思う可能性が高まるはずです。発信する情報がブログやサイトのページであれば、注目して何度も訪れてくれるでしょう。
たとえ、はじめは企業を知らなくても、このサイトには役に立つ情報があると認識し、何度も情報に触れているうちに企業のファンになる可能性もあります。
「もっと知りたい」を喚起していく
自社が発信する情報を高頻度で見てもらうためには、「また見たい(読みたい)」「もっと知りたい」と思えるような良質のコンテンツを届ける必要があります。際立たせるには、自由度の高い採用サイトやオウンドメディアが有効です。また、気軽に候補者の日常に入り込むことのできるSNSでの情報発信も効果的です。
「どのような情報を届けていくか」
これだけは、時間をかけて吟味し確度を保つ必要があります。インバウンドリクルーティングの成否を分ける要素といっても過言ではないでしょう。つまり、今までの採用苦戦が続くか、採用がラクになるかを決める鍵となるのです。
まとめ
人材獲得競争がますます激しくなる昨今では、インバウンドリクルーティングも有効な手段となる可能性が高いです。実際に、メルカリやサイボウズなどの成功例もあります。インバウンドリクルーティングを成功させるためには、採用オウンドメディアも貢献します。情報発信の要の媒体として、採用オウンドメディアを活用されてみてはいかがでしょうか。