求める人材を確保する採用計画の立て方とは?

採用計画 /

企業が求める人材を確保していくためには、採用計画が不可欠です。人材獲得の難易度が高まる昨今、自社都合に合わせるだけの計画ではうまくいきにくいでしょう。ここでは、自社にマッチした人材を確保するための採用計画の立て方について解説します。

そもそも採用計画とは?

採用計画とは、企業が外部人材を採用するための採用活動についての細かい計画です。どういう人を、いつまでに、何人採用するかの目標達成に向けて、細分化したプロセスまで具体化します。

具体化にはさまざまな要素が含まれます。

  • どのような方法・手法を使うのか
  • どのようなツールを活用するのか
  • 誰が担当するのか
  • 募集や各選考フェーズのスケジュール設定
  • 採用活動にかかる予算の振り分け

採用計画を立てることは、採用活動の途中で行き詰まってしまわないための重要なステップです。

採用計画の必要性

日本は、深刻な人手不足に直面しています。採用市場が年々厳しさを増していることを実感されている方も多いのではないでしょうか。その環境下で、自社が求める優秀な人材を確保するためにも、採用計画は欠かせません。

ここで、近年の採用市場がどのようになっているのかをご説明します。採用計画を立てることの重要性が増している、その背景をご確認ください。

生産年齢人口の減少

日本は、超少子高齢の時代に突入しています。近年は、日本の労働力人口(働いている人)は増え、失業率は低くなっています。これは、定年を迎えたシニア層や外国人人材での補充が積極的に行われているためです。失業率の低さは、裏を返せば潜在的な労働者が少ないことを物語っています。

主要なマンパワーと考えられる15歳~64歳までの生産年齢人口は、今後も減少が続くものと見られています。2015年の国勢調査では7,728万人でしたが、2030年あたりには7,000万人以下、2040年には6,000万人を割るという推計もあります。つまり、企業の人材確保がさらに難しくなるということです。

参考:日本の将来推計人口

大企業への就職希望者が増加

2018年の平均求人倍率は1.61倍でした。2019年も同水準が続いています。このところの人材不足の状況は、労働者の働く環境の改善にもつながっています。人材を確保するために、世の中の企業は、労働環境の改善や制度の改革を迫られているからです。

組織改革を進めたり、職場環境を改善したりする能力は、やはり中小企業よりも大企業のほうが上です。そのため、就職先として大企業を希望する人の数が増加傾向にあります。中小企業にとって難しい採用環境が続いているようです。

新卒者の採用が激戦

日本では新卒採用を一括で行う慣習があり、近年は、新卒採用スケジュールに頻繁な変更がありました。経団連は2019年、この一括採用のスケジュールを撤廃する方針を固めています。徐々に通年採用が浸透していくでしょう。

上記でもお伝えしたように少子化により若手人材は、絶対数自体がかなり不足しています。さらに、求職者が採用にかける時間も短期化してきているようです。企業の将来を担うポテンシャル性の高い新卒者の争奪戦は今後も激しくなっていくと考えられています。

採用計画を立てる前にやるべきこと

効果のある採用計画を立てるためには、計画する前にやっておくべきことがあります。計画内容に大きな影響を与えていくはずです。とくに重要になってくる3つのステップをご紹介します。採用計画の前準備として、しっかりプロセスの中に組み込まれることをおすすめします。

事業計画を把握する

効率的、かつ採用成果につながる採用計画を立てるためには、事業計画の把握が欠かせません。事業計画によって、自社に必要な人員数が明らかになるものだからです。どの部署に、どのような人材が何人必要なのかがわかれば、現状の人材構造に照らして、適切な採用人数を算出できます。

自社に必要な「的確な」人員数を、人事担当者だけで決めることは難しいでしょう。事業計画は経営層の主導で策定されます。自社の全体的な財政に照らしながら人件費予算を算出し、必要人数に落とし込まれます。

事業計画が全社で共有されれば、現場も何をする必要があるかがわかるので、必要人員数が見込めるはずです。現場の見込み数は、より現実味を帯びるため、経営層と現場が出すそれぞれの必要数をすり合わせていく必要があります。経営、人事、現場がコミュニケーションを取りながら、最適数を出さなければなりません。

採用課題を明確にする

採用計画を立てる前に、自社の過去から現在までの採用実積を振り返り、課題となる改善箇所を把握することが大切です。

たとえば、以下の点に着目して現状分析をしてみましょう。

  • これまでの採用は、目標をクリアできているのか
  • 失敗要因は何か
  • 採用プロセスのどこで躓いているのか
  • 成功要因は何か
  • 採用後の人材の離職・定着率はどれくらいか
  • 採用した人材に対する満足度(マッチ度)

これらの点を把握するには、現場にインタビューなどをして評価協力を仰ぐ必要性も出てくるでしょう。

採用プロセスについては、できる限り数値化して記録し、データを蓄積しておかれることをおすすめします。たとえば、応募数、各フェーズでの歩留まり率、候補者とのやり取りの回数など細かい部分も分析に役立ちます。

数の面では目標に達していたとしても、質に関して改善できることは意外にたくさん隠れているものです。ブラッシュアップにつながる改善点を見つけ出し、より質の高い採用計画に反映させましょう。

競合調査

優秀な人材を獲得するために積極的な採用活動をしているのは、自社だけではありませんよね。人材獲得を争うことになるライバル企業についてのリサーチも事前準備として欠かせないステップです。

昨今は、地域、雇用形態、就業時間の柔軟性、福利厚生の充実度など、求職者の企業選びの基準が多様化しています。同じようなスペックの人材を求めると考えられる同業界・業種だけでなく、あらゆる側面から、競合する企業を捉えていく必要があります。事業の新規参入やマルチ展開やクロス展開をする企業も増えたため業界・業種だけで括れなくなってきている現状があります。業種を問わない、汎用性の高い職種の採用についても、ライバルはかなり広い範囲で存在するはずです。

「候補者を選定する」というベクトルを意識する前に、「候補者に選ばれるためには」という視点を持つ必要があります。他社との差別化も図っていかなければなりません。たとえば、自社の新入社員に求職活動中の検討事項のヒアリング内容、企業に対する口コミなども参考になるでしょう。また、他の企業の「採用状況」や「採用活動(どういった活動や発信をしているか)」を知ることも大切です。

採用計画を立てるポイント

では、事業計画や事前の準備・リサーチに基づいて、採用計画を立てていく際に欠かせないポイントを解説していきます。

採用目的を明確にする

個々の求人案件について、その採用の目的を明確にしましょう。明確にすることで、事業計画や人事戦略との整合性が取れているかも確認できるはずです。採用に関わるメンバーが複数になっても、採用活動期間が長めになるときも、的外れの採用になってしまうことを防げます。募集の背景として候補者に聞かれることもあるため、共有を図っておくことをおすすめします。

求める人材像を明確にする

自社の採用活動のもう一つの指針となるのが「自社が求める人物像」です。この人物像が、採用活動におけるすべてのフェーズの具体的な内容に影響を与えます。採用手法、活用媒体やツール、スケジュールも対象者次第で決めるべきものです。これらの内容がかかる経費を変動させます。

営業職の求人であれば、営業職経験者とするのではなく、

  • どのような営業経験なのか(個人・法人、法人規模)
  • 営業としての経験年数(実積と実積規模)
  • どのような営業スタイルを経験したのか(インバウント、飛び込み)
  • 営業チームの規模やどのような役割を担ってきたのか

スペックだけではなく、ソフト面の具体化も重要です。業務遂行能力とともに、自社の社風との一致度を測る項目が必要です。

  • コミュニケーションの傾向・個性
  • 特定のシチュエーションでどのような行動を取るのか
  • 特定のシチュエーションでどのような思考をするのか

選考方法と評価基準を決める

採用活動に入ると、最終的な内定を出すまでに、選考を行います。どのような選考方法を取っていくのかを決める必要があります。たとえば、提出してもらう書類や資料は何が必要か、筆記テストの有無や面接回数などです。面接についても、Web、グループ、人事、部署長、経営層との面接などの種類があります。

その方法の中で、求める人物像にフィットするかどうかを見極めるための評価基準も設定しておく必要があります。つまり、選考方法や評価基準を決めるには、事前の「求める人物像」の設定が欠かせないということです。

時間のかかるプロセスですが、選考者ができるだけ主観を含めず、客観的に評価するための大事な指針となります。面接時の質問や確かめるべきポイントをチェックシートなどにまとめておくとスムーズな評価ができるでしょう。統一された評価項目があることで、候補者の比較がしやすくなり、的確、かつ根拠が明確な人選ができるのです。

募集ツールを選定する

続いて、人材を募集するツールの選定を行います。要は、応募を集めるために何をするか、何を使うかということです。新卒、中途、派遣、アルバイト、外国人など採用の種類はさまざまです。オンライン・オフラインを含め、それぞれに最適な募集ツールが異なります。

一つのツールだけで、満足のいく母集団を形成することは難しいかもしれません。複数のツールや媒体を使い、それらを連動的に活用しながら求職者を取り込んでいきましょう。

採用スケジュールを作る

上記項目を踏まえて、実際の日程スケジュールにのせていきます。採用プロセスのシミュレーションをしてみると、忙しくなる時期をある程度予測できるのです。採用活動を効率的にするためにも、自社の都合だけでなく、採用市場や求職者の動向に合わせることも心がけてください。

負荷が大きくなる時期は、選考の質が下がったり、候補者対応が遅れたりする可能性が高くなります。採用活動全体の停滞にもつながりかねません。繁忙期以外の時期に、繁忙期の負荷を下げるための業務を前倒しで組み込むなどで負荷を平均化しておくことが大切です。そして、実際に採用活動が始まってからも、こまめに調整していく必要があります。

まとめ

採用計画は、採用活動に入る前にきちんと立てることが大切です。採用活動では、さまざまな媒体やツールを活用していきます。採用オウンドメディアを採用活動の中心にした使っていくことでスムーズな採用活動が実現できます。欲しい人材を確実な採用につなげやすくなるでしょう。

関連記事