有効な中途採用方法とは?

世の中の労働者にとって転職することが珍しくない時代。売り手市場にある昨今、人材の流動はますます活発になってきています。ビジネスのグローバル化も進み、企業は今までより広い範囲での競争力を確保しなければなりません。これらを背景に多くの企業が、中途採用に注力しています。

ここでは、中途採用の採用手法や活用ツール、中途採用を行うメリット、中途採用を成功させるためのプロセス上のポイントなどを詳しく解説していきます。人材獲得競争が激しくなる中、貴社の採用の効率化、円滑化、最適化のために、ぜひ、ご参考ください。

中途採用とは?

中途採用とは、いわゆる転職する人材の採用です。過去に企業に就職し、業務経験を持つ社会人が対象となります。終身雇用という慣習の終焉や、ビジネスのグローバル化による組織のダイバーシティの必要性、少子化による人材不足などによって、企業の中途人材のニーズは上昇しています。

対象層となるのは、新卒や第二新卒を除く、労働者全般です。20~30代の若手、40代のミドル層、50代以降のベテラン・シニア層まで、幅はかなり広くなります。年齢が増すほど、同じ層でも、一人ひとり経験値や能力レベルが異なるのが特徴です。採用時にしっかりと見極めていく必要があります。

新卒採用と中途採用の違いとは?

中途採用と新卒採用では、どのような点が違ってくるのでしょうか。中途と新卒それぞれの特徴を挙げながら解説していきます。どちらにもメリットとデメリットがあり、どちらが良い悪いというものではありません。自社に必要なポジションや現状の組織構成、もしくは自社の将来像など、自社の必要性に合わせて選択していくことが大切です。

【新卒採用の特徴】

  • 年に1~2回、期間限定、採用スケジュールが画一的(※1)
  • 社会人経験も、業務経験もない
  • ポテンシャル重視
  • ビジネスマナー教育が必要
  • 企業の方針や理念の浸透度が高い
  • 第二新卒の存在(※2)

※1経団連の「就活ルールの撤廃」により、今後は通年採用が浸透する見込みです。
※2新卒入社後、3年以内に退職して、求職活動をしている人です。基礎的な研修を受けているが、即戦力の期待値は低いという位置づけになります。

【中途採用の特徴】

  • 年間を通して、自社の計画や必要性に応じて採用活動ができる
  • 即戦力となり得る経験とスキルを重視
  • 業務の基礎研修、ビジネスマナー教育を必要としない
  • 自社にない知識・技術・専門性を取り込める可能性がある
  • 他社の方針や理念の影響を受けている
  • 優秀な人材ほど給与水準が高くなる傾向

中途採用をするメリット

では、中途採用のメリットを、「業務遂行能力」「コスト」「組織能力の強化」「採用時期の柔軟性」という4つの側面から解説していきます。

即戦力として期待できる

中途採用で迎え入れる人材は、入社してすぐに即戦力として活躍してもらえる点が大きなメリットです。給料という経費がかかっても、企業の利益にプラスをもたらしてくれる可能性が高くなります。

30代後半あたりになると、業務の熟練度が高いだけでなく、マネジメント経験を積んでいる可能性も高くなります。マネジメントを現場での経験を通して体感してきた人は、管理職の役割と責任を理解し、適切なリーダーシップで職場の人材を引っ張ってくれるでしょう。組織成長に貢献する存在となるはずです。経験が豊富であるほど、高品質な仕事やマネジメントができる期待が持てます。

コスト削減できる

中途社員は、すでに何らかの業務経験や、ビジネスパーソンとしての社会経験を積んでいます。新卒社員のように業務の基礎、ビジネスマナーなど基本的なことに関する教育の必要性が低いです。これらのための研修費とその期間を省けるため、大幅にコストを削減できることもメリットとなるでしょう。

したがって、中途採用は、教育にかけるコストや時間に余裕がないという企業にとっても、人材確保の有効な手段となっています。

新しい知識が得られる

中途で採用する人材は、他社での業務経験の中でノウハウやスキルを培っています。つまり、中途人材を自社に迎えることで、自社にない知識やノウハウを取り入れていくことができるのです。

同業界や業種の経験であれば、自社の組織能力の補強ができます。近年では、異業界・異業種から迎える人材の発想やアイデアが、新しい価値創出に役立つという認識も広がっています。このような人材の存在は、既存社員のいい刺激を与えていくはずです。

採用までに時間がかからない

中途採用は、一年を通して求人を出すことができます。新卒のように一定のスケジュールがないため、募集開始から採用までを比較的、短期間で済ませることも可能です。もちろん、候補者の都合も考慮しなければなりませんが、タイミングよく良い人材が見つかれば、数日で確保できることもあります。

急な欠員が出ても、時期を気にすることなく補充に取り掛かれます。また、事業拡大や新規展開などで人材の増員が必要なときも、自社の計画やスケジュールに合わせて採用活動を進めることができるのです。

中途採用が注目されている理由とは?

冒頭で、中途採用を進めている企業や、今後も注力したいと考える企業が多いことをお伝えしました。中途採用による人材確保は今後も活況となっていくでしょう。ここで、中途採用が注目されている背景を解説します。

採用市場の変化

高度成長期に働く日本の労働者にとって、転職は大きな覚悟のいる一大イベントでした。新卒で入社し定年まで働く終身雇用が、ごく一般的な時代だったからです。しかし、2000年を過ぎる頃には、転職をすることのほうがごく一般的なものになっていきます。社会や経済、企業のビジネス環境が変わったことが要因です。さらに、デジタル技術の普及が人々の生活を変え、価値観や仕事観まで変化させました。

そして、企業の人材流動が加速化するとともに、企業に中途人材のニーズが生まれます。大企業も、自社の組織能力の補強、市場での競争力強化に向けて、中途採用に注力しています。そうしなければ、たとえ大企業であっても、企業存続の危機に晒される可能性は、ますます現実味を帯びてきているのです。

条件の良い大企業が中途採用を開始すれば、中小企業で働く人材にも動きが起こります。それによって中小企業が欠員募集を開始しても、同じく大企業も募集をかけているため、知名度や条件に太刀打ちできずに、不利な状況を強いられます。中小企業の人材不足は、死活問題に直結する問題です。したがって、中小企業にも、人材確保に向けた新しい戦術が求められています。

就労意識の変化

ビジネスのグローバル化やデジタルの進化が、労働者の仕事に対する意識にも影響を与えています。

労働者の働く場所(企業)の選択基準にも多様化が見られます。
大企業であること、給与が高いことなど外側の条件を満たすことよりも、個人的要素の充実を求める労働者が増えているのです。たとえば、ワークライフバランスが整いやすいこと、社会貢献できること、転職を前提にしてキャリアアップできる環境があること、やりがいが感じられることなどが挙げられます。

近年では、働き方の多様化もさらに加速しています。先の見えない時代にあり、安定を求める意識が強い一方で、正社員の割合は減ってきているのです。平成初期は、正社員約80%、非正規社員約20%という割合でした。

平成15年あたりになると、非正規社員の割合が30%を突破、平成26年以降は37%以上を推移しながら現在に至っています。以前は、どちらかというと、人的コストの削減など、企業都合による非正規雇用がありました。現在は、育児中の女性、定年後のシニアの活用も活発化しているため、この層のパートや契約社員も多いと考えられます。

しかし、働き方の多様化が進む昨今では、あえて非正規での就業を希望する人も増えているのです。正社員として働くことに魅力を感じない、非正規でも専門知識や技術が活かせる、自分の都合のよい時間に働きたいという意識が、とくに若手人材に多く見受けられます。若手の就労意識は、居心地の良さや個性を伸ばすことへと変化してきているようです。

競争環境の変化

ビジネスのグローバル化が進み、企業が繁栄し続けるためには、世界の多様なニーズに対応していく必要性が高まっています。ビジネスの競合が存在する範囲が世界に広がっているのです。企業は、そのグローバル市場で優位性を保っていくための価値を創造していかなければなりません。

専門性の高い優秀な人材が必要とされるわけですが、新卒入社から勤続している社員たちだけでは、どうしても視野が狭くなりがちです。そこで、自社の外で学びや経験を積んだ人材を組織に迎え入れていくことで、社内の多様化を図ろうとする動きが高まっています。

画一的な経験と教育を受けた人材の集まりよりも、異質のバックグラウンドを持つ人材が集まる組織のほうがニーズへの対応力、創造力、柔軟性ともに高くなると考えられています。組織の中で、それぞれの能力や技術、価値観や発想を融合させて「新しい何か」を生み出せる可能性が高まるからです。それが、グローバルステージにおける企業の高い競争力につながっていきます。

また、変化スピードも速くなっている現代のビジネス環境の中では、変化への対応力も求められます。中途人材を迎えることは、人員構成、業務フロー、社員の心理など組織に何らかの変化をもたらします。組織のマンネリ化を防ぎ、組織が個人レベルで変化を経験することが、変化に順応できる強い組織であり続けることにもつながっていくのです。

中途採用の代表的な採用手法

では、中途採用で取り入れられている代表的な採用手法をご紹介します。

ハローワーク

ハローワークは、各都道府県に設置されている公共職業安定所です。国の支援を受け、各地の労働局が運営しています。

どの企業も無料でハローワークが運営するシステムやサイトに求人を掲載することができます。応募は、ハローワーク経由となりますが、雇用促進を目的として機関なので、仲介や手配に対する料金も一切かかりません。

企業は、自社所在地管轄のハローワークを活用することになります。地方での採用には有効ですし、募集対象を全国的に広げることも可能です。ハローワークを経由した採用を行う場合、助成金の対象となることもあります。

掲載できる求人票のフォーマットは一律となるため、他社との差別化は難しいかもしれません。また、求人票を見る人の多くは、失業者などの転職顕在層です。

求人サイト

インターネットの普及により、Web上には、数多くの求人サイトや転職サイトが存在しています。求人サイトの運営会社と契約を結び、企業が求人広告の掲載料を支払って、応募を集める方法です。料金形態は「掲載料のみ」「応募課金」「採用課金」があるので契約前に確認する必要があります。

求職者は、自分で選択した求人サイトに登録をして、掲載されている求人情報を探し出して応募をします。転職顕在層、潜在層を問わず、無料で登録・閲覧ができるため、幅広い層に見てもらうことのできる媒体です。

求人要件、自社情報、文字数、画像や動画など、何をどれくらい掲載できるかはサービスサイトごとに異なります。料金プランが設定されていることも多く、高い料金プランほど、掲載項目を増やせたり、システム上で求職者の目に付きやすい設定が加わったりします。中には、企業から適した人材を探し出し、個別にスカウトできる機能が使えるサイトもあります。

人材紹介

人材紹介会社は、独自に人材データベースを構築しています。自社が求めている人材の要件を伝えることで、登録者データベースからマッチする人材をピンポイントに紹介してもらうことができます。求人作成や募集活動、集まってくる履歴書や職務経歴書などのスクリーニングの工数が省ける採用手法です。

依頼企業の求人要件を踏まえて、適切な人材を紹介してもらえます。すでに絞り込まれた人材を選考・審査できるため、マッチングの精度も高くなります。求人案件の提示、入社意欲の喚起、その間のコミュニケーションやフォローも人材紹介が担当してくれることが多いため、離脱の可能性も低いです。登録者に限られるとは言え、マッチした人材が見つかれば、数日での採用も不可能ではありません。公にしたくない求人でも非公開求人として対応してもらえる点もメリットでしょう。

人材紹介会社の多くが、成功報酬型の料金体系を取っているため、採用に至らない場合はコストがかかりません。ただし、採用一人に対しての成功報酬となり、その額は他の手法と比較しても高めの傾向があります。

紙媒体

紙媒体での求人広告の掲載も昔から存在している採用手法の一つです。たとえば、新聞、折込チラシ、雑誌、フリーペーパーなどがあります。これらの媒体は、地域ごとに配布されるため、求職者の居住地域を限定した採用などに向いています。

特定地域の求職者の生活環境に入り込み、目に留めてもらえる可能性の高い方法です。とくにパソコンやスマホを扱う機会が少ないシニア層を募集したいときには一定の効果が見込めるでしょう。

掲載料金は個々に異なりますが、限られたスペースの中で必要なことを伝え、訴求力を保持しなければなりません。また、Web媒体とは異なり、発行されたあとの修正が効かないことにも注意しておく必要があります。

ダイレクトソーシング

上記でご紹介した手法は、求職者の応募や人材サービスからの紹介を「待つ」タイプのものです。応募がなければ、採用の次の工程に進むことができないというデメリットがあります。

近年の日本では、少子化によって生産年齢人口が減少、売り手市場の傾向が続いています。人材獲得競争が激しくなり、求人を出しても応募がないという事態が起こりやすくなっています。そうなると、待っているだけでは人材を確保することができません。そこで日本に浸透し始めたのが、ダイレクトソーシング(ダイレクトリクルーティング)です。

ハローワーク、求人サイト、人材紹介などを介さずに、企業のほうから積極的にアプローチをしていく「攻め」の手法です。欲しい人材であれば、その時点で転職意欲の低い潜在層にも働きかけていきます。転職顕在層(求職者)や登録者という枠組みを超えて人材発掘ができるのもメリットです。ダイレクトソーシングをうまく回せるようになると、自社が必要なときに、すぐに適切な人材を確保できる可能性が高くなります。

すべてを自社で行うため、工数もかかり、一定の採用スキルも求められます。しかし、人材の獲得競争の激しさは今後も続いていくと予測されていることもあり、日本でも浸透が進んでいるようです。

合同会社説明会

複数の企業が一つの会場に集まり、企業説明会を開催するのが合同会社説明会です。主に、転職サイト、人材紹介会社、地域の商工会議所などの主催で行われていることが多いです。出展には出展料がかかります。料金は、イベントの規模、出展ブースのサイズ、業種や職種などに応じて異なります。

説明会は、求職者と直接会うことのできる機会の一つです。選考上で行われる面接より、気軽に質疑応答を交わすことができます。多くの企業が出展することによって、多くの求職者が集まるイベントでもあるので、自社の認知度を高める効果も期待できるでしょう。求職者にとっても、企業で働く人と直接合うことで、社風を感じることのできる有効な機会になります。

ここでの接点で得られたコンタクト情報を足がかりにして、継続的なコミュニケーションを図っていくことができます。出展の際には、この機会に出会ってからのルートを確立しておくことも大切です。

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、Facebook、Twitter、LinkedInなどのSNS媒体を活用する採用手法のことです。SNS媒体は、世界中の人々のコミュニケーションツールとして浸透しており、個人情報を発信する媒体としての認識度も高いです。求職者が日常的に触れている可能性の高い媒体です。

そのSNSの特質を活用して、自社でSNSのアカウントを持ち、採用につながるような情報発信をしていく手法も広がっています。もちろん、採用に関わるアプローチもSNS上で進めていくのです。

SNS活用では、「いいね!」や「シェア」といった拡散効果も期待することができます。つまり、企業アカウントから発信する情報が、企業のブランディングとなったり、発信する求人広告が拡散されたりして、より多くの人の目に留まる可能性を高められる方法です。比較的低コストで情報発信ができるのもメリットでしょう。

リファラル採用

リファラル採用は、求人サイトや人材紹介など外部に頼らずに、社員からの友人や知人の紹介によって採用していく手法です。厳密には、自社を退職したOBやOGなどの関係者からの紹介を対象にしている企業もあります。

現代の日本企業は人材不足の傾向があり、以前にも増して、ミスマッチによる退職を軽視できない状況となっています。自社のことも、紹介される人材のことも、よく知る従業員からの紹介であれば、高いマッチ度が期待できますし、定着率も高くなる傾向があります。社員が間に存在してくれることで離脱や辞退の可能性も低くなります。

リファラル採用の場合、採用コストが抑えられることも大きなメリットとなるでしょう。また、社員の友人や知人の中には、優秀な転職潜在層だったというケースも少なくないようです。

中途採用で取り入れていきたいツール

採用活動の中では、さまざまなツールやシステムを活用していくことになります。考えられるものは多種多様にありますが、中途採用で取り入れていく価値が高いと考えられるものをご紹介します。

採用業務の効率化とともに、採用成果を高めることにも貢献するツールです。「SNS」「採用管理システム」「Wen面談システム」「採用オウンドメディア」についてご確認ください。

スムーズなやり取りを実現するSNS

候補者との連絡手段はいろいろありますが、最近は、SNSが多くの人のコミュニケーション手段になっています。そのため、以前から活用されていた電話やメールの活用が減っています。電話だと話せるタイミングが合わないこともありますし、メールを送っても何日も気づかない確率も高くなってきています。

せっかく興味を持ってもらえて、接点を持てたとしても、やり取りの時差が生じてしまえば、「無」になってしまうこともあり得ます。その間に、他社に奪われることもあるかもしれません。良い人材だった場合は、入社時期まで継続的に連絡を取り合うことになるため、企業側から伝える内容を見逃されてしまうことがないよう、確実に、かつタイムリーに伝わる手段を選ぶことが大切です。

採用活動で使っていくコミュニケーション手段は、求職者が日常的に活用しているものに合わせることがポイントとなります。とくに若手の場合は、LINEやTwitter、Instagramなど、SNSでのやり取りを望む傾向が高いようです。

情報とデータを一括管理する採用管理システム

採用活動上で行う業務は多岐にわたります。募集、求人や情報発信媒体のコンテンツ作成や更新、応募受付、選考、面接スケジュール調整、面接評価、求職者とのコンタクトなど、それぞれに必要なツールが異なり、複数の候補者に対応していくには作業が煩雑になるものです。

それらを一括で管理できるのが採用管理システムです。採用管理システムの種類も多種多様にありますが、自社の採用業務やフローに合うものを導入すれば、採用活動のすべてを一つのシステム内で進めることができます。採用の業務工数は一気に削減でき、効率化が図れるはずです。対応ミスや対応漏れも減り、選考の進行状況もリアルタイムに確認できます。候補者情報の社内共有の手間も省けるでしょう。

クラウドシステムが多いため、進捗のデータも自動的に蓄積されていきます。データを基にした分析も簡単にできるようになり、改善ポイントも見出しやすいのもメリットです。

採用管理システムは、採用上で使うツールや媒体が多いほど、導入価値が高くなります。自社の採用業務に合わせられるカスタマイズ性と、将来的に新しく取り入れるツールとも連携できるような拡張性の高いものを選定しておくことをおすすめします。

タッチポイントを増やせるWeb面談システム

中途採用の場合、転職活動を行う求職者も転職潜在層も、在職中である可能性が高くなります。この場合、転職先候補との面談、面接ができる日程が限られてくるはずです。複数企業に応募している求職者の場合、さらに自社がスケジュールに入り込む余地は少なくなるでしょう。

そこで、検討していただきたいのが、Web面接システムの導入です。物理的に動く必要がないため、スケジュール調整がしやすくなります。時間を割いて、交通費をかけて動く必要がなくなるのです。この容易性によって、応募が増える可能性もあります。移動の必要性がなくなれば、遠方の優秀人材も対象範囲に含めていくことができるはずです。

最終面接などは、直接訪問したり、こちらから出向いたりが必要だったとしても、その前段階でのコンタクトの回数を増やすことも可能です。メールやSNSでのやり取りより、エンゲージメントを高くする効果があります。

合同説明会や研修・セミナーなどを開催することも可能です。画面で、資料を共有しながら対話を進められるという点もWeb面接システムのメリットです。視覚情報とともに説明することができるため、より理解を深めてもらうことができるでしょう。

採用オウンドメディア

自社で求職者に届けたい情報を、自由に効果的に発信していく採用オウンドメディアを持つ企業が急速に増えています。今後の採用市場においても、大きな役割を果たす媒体としてますます浸透していくツールの一つです。ここから、採用オウンドメディアのメリットやコンテンツの種類を説明します。

採用オウンドメディアを持つメリット】
採用オウンドメディアを持つことで、採用活動上で多くのメリットを享受することができます。

  • 制限がないため、求職者に必要な情報を効果的なコンテンツで伝えられる
  • 完全オリジナルで制作できるため、他社との差別化を図るには最適
  • 検索エンジンから自社情報や自社求人に誘導できる
  • SNSツールとの連携で拡散による認知層からの流入も見込める
  • 自社理解度の高い人材が集まるため採用のマッチング精度が高まる
  • ミスマッチを防ぐ効果が高く、早期離職率を下げることができる
  • 追加や更新コストがかからず、長期的には採用コストが抑えられる
  • 自社で利用や閲覧率のデータ蓄積が可能になり、常に最適化できる
  • 社員を巻き込むことで、エンゲージメント強化や組織の活性化に役立つ
  • 転職潜在層を取り込む効果が高く、アプローチ中も有効活用できる
  • 情報やコンテンツは資産として蓄積できるため、結果的に使い回しが可能

採用に有効なコンテンツの種類
あらゆるコンテンツを盛り込むことができるのが採用オウンドメディアです。採用で有効と考えられるコンテンツをご紹介します。

  • 企業文化が感じられるメッセージ、画像、映像
  • 自社のビジョンや価値観について
  • 既存社員の働く姿、一日の流れ、インタビュー
  • 事業や職種についての詳しい説明
  • 入社後のサポート体制、キャリアパス
  • 福利厚生や人事評価制度の特徴
  • 選考フロー、応募方法
  • 業界レポート、コラム

文字情報がキャッチーであることも大事ですが、Webデザインも企業イメージに大きく影響しますし、図やイラスト、画像や映像などビジュアル要素も積極的に盛り込んで訴求力を高めることがポイントです。求職者が閲覧するときの負荷を下げることも念頭におきましょう。

自社の腕次第!自社の採用がラクになる

採用オウンドメディアの運用に成功している企業の多くが実感しているのが、「応募してくる人材がサイトを読み込んでいる」ということです。それはつまり、企業のことをよく理解しているということになります。

質の高い採用オウンドメディアを持って運用していけば、毎回、マッチング精度の高い人材を採用できるだけでなく、採用活動全体の負荷を下げることも可能になっていくでしょう。

中途採用における各フェーズのポイント

中途採用の始めから終わりまでにある、各フェーズのポイントを解説します。募集前の準備、入社後のフォローまでを計画に含めておくことが大切です。

準備

「いつまでに」「どのポジションで」「何人の採用が必要か」という目標を定めて、採用計画に落とし込みます。日程のスケジュールとともに、採用活動全体でかかるコストの予算や人員の割り振りも重要です。計画通りに進むことは稀なので、以降を進行する中で微調整を繰り返していきます。

計画はできるだけ具体的に、いつ、どのような方法で、誰が担当するのかを明確にしておくことが大切です。各求人案件の「求める人物像の設定」も欠かせません。ハードとソフトの両面から能力やスキルの要件を明確にしておきます。

準備段階で、自社分析をしておくことも大切です。自社の魅力、強み、他社との違いなど特色をしっかり訴求するための材料となります。求職者とのマッチングを測る上でも重要なステップです。求める人物像に定めるターゲットに合わせて、取り入れる手法やツールの選定を行います。各段階の進行と対応のフローも確立しておきましょう。

このように、採用活動に入る前にも準備することはいろいろあります。準備でどの程度詰めておくかが採用活動の流れを決めるといっても過言ではありません。

募集

準備したことを基に、活用する媒体の仕様に沿って求人案内や広告を作成します。応募数を増やすほうに意識が向きがちですが、求人作成の段階に入ったら、応募者の質の確保に重点をシフトしましょう。

「応募が集まらない」「あてはまらない応募者が多い」という場合は、公開している求人原稿がターゲット層に見られていない、見ていても魅力を感じる訴求ができていない可能性があります。見直しや修正をしながら、選考のための母集団を形成していきましょう。個々の応募者への対応をどのようにするかも明確にしておくことも大切です。せっかくの応募を確実に受け取れるように、全社員に周知しておくことをおすすめします。

求人の存在を知らせる方法としては、求人媒体への求人広告の掲載の他、リファラル採用、ダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティング、合同説明会やセミナーなども、告知の機会となります。

書類選考

応募が集まったあとは、履歴書や職務経歴書などをスクリーニングして書類選考を行います。ここで、求める人物像を基に、明確な評価基準を定めておくことが大切です。

集まった書類は、不採用になった求職者も含めて個人情報です。機密情報として徹底した管理を行いましょう。書類選考を通過した人の書類は、面接の質疑応答の準備に役立ててください。

採用、不採用の連絡は、速やかに行うようにして、求職者をできるだけ待たせないことがポイントです。応募を受け付けた段階で、結果が出るスケジュール感を知らせておくのが適切でしょう。

面接

面接段階になると、候補者ごとの対応が増えます。意図しない途中離脱を防ぐためにも、抜けや重複なく、スピーディーに対応できる仕組みを整えておくことが大切です。面接結果をいつ連絡するかは、面接の日に伝えられるようにしておくのが理想です。

質疑応答の内容、面接での評価基準、伝達すべき内容を具体的に明確化しておきます。とくに複数の面接官で選考を進める場合は、事前に認識を一致させておくことが重要です。

また、不適切な対応で候補者に悪い印象を植え付けてしまわないよう、面接時の姿勢や態度、発言などについての意識研修も必要になってくるでしょう。選考とともに、入社意欲を喚起する役割を持つことも認識してもらう必要があります。

内定

自社で内定を出しても「承諾」するかは候補者の判断に委ねられます。承諾が得られるかどうかは、自社の魅力がきちんと伝わっているか、前の工程で自社に好印象を持ってもらえているかにかかっています。

内定を出す段階に入ったら、担当者は、その内定者を再優先事項として対応することが大切です。内定者も最終決断のときを迎えていますし、他社からも内定を獲得している可能性もあるからです。

承諾が得られたあとは、入社に向けた準備に入っていきます。入社の手続きに必要な書類を、入社日前に準備できるように正確に伝えておきましょう。質問、疑問、不安を気軽に解決していけるようなコミュニケーションを取り続けることも大切です。また、内定者のスケジュールを考慮しながら、内定者面談や説明会、既存社員との交流イベントへの招待などで接点の機会を設けるのも一策です。

入社

採用は入社すれば終わりではありません。新入社員の入社初期というのは新しい環境でナーバスになるものなので、心理的負担が大きくなります。この点については、どれだけ優秀な即戦力人材でも言えることなので、社会経験があるからと新入社員の慣れや精神力をアテにして、配慮が疎かにならないように注意してください。

事前に、入社後に働く部署と打ち合わせて、フォロー体制も整えておく必要があります。できるだけ早い時期に組織に馴染んでもらえるような仕組みを構築しておきましょう。

最終的に採用プロセスの振り返りや分析をして、次の採用に活かしていきます。プロセス上で候補者や内定者から質問を受けたことは、今後の採用活動での対応力を上げるための材料としてしっかり組み込んでいってください。

中途採用で成功に近づくためのポイントとは

では、中途採用を成功させていくためのポイントを解説します。ここでは、6つの項目を挙げています。もし、満足できる採用ができていない場合は、欠けている点がないのチェックリストとしてお役立てください。

不足が多いほど、一気に取り組むことは難しいかもしれませんが、いずれも現在の採用には不可欠となるポイントです。一つ一つクリアしていくうちに、採用効率や成果の向上や採用業務負荷の低下が実現されていくでしょう。

戦略に基づいた採用計画

採用は、企業の事業戦略や人事戦略に基づいて、計画を立てていくことが大切です。急な欠員補充や毎年の定期採用が基点になってしまっている採用も少なくありません。本来、採用は事業を進める人材(経営資源の一つ)を確保するためのものです。にも関わらず、事業戦略を無視して採用を進めると、採用はうまくいったとしても、組織的には人材の過剰や不足が生じやすくなります。

現状だけでなく将来の自社像(事業戦略・計画)を踏まえた人員確保をしなければなりません。

たとえば、人事部門の採用では人事経験者が求められますが、将来を踏まえればIT部門と絡めた採用や人事調整が有効となるケースも多いです。将来的に自社に必要とされる組織の人材構成を満たすには、今から育成を進めたほうがいいポジションもあるはずです。一回一回の採用も、中長期の計画の一部という認識を持って進めていきましょう。

面接官のスキルアップ

中途採用に限ったことではありませんが、自社の採用スキルが採用成功を左右します。採用に複数のメンバーが関わっていくときには、スキルや認識のばらつきも生じます。

とくに、面接のフェーズでは、各面接官が求職者と直接対話して評価していきます。対策なしで進めると、評価にも、選考を通過する人材の質にもばらつきが出てしまうでしょう。個性や価値観、コミュニケーション能力が異なる「人間の主観的評価」がもっとも出てしまいやすいフェーズです。聞くべきこと、伝えるべきこと、そして評価基準まで、認識を一致させることが重要になります。

また、面接官の態度や姿勢が適切でない場合、その影響は採用全体、もしくは将来的な採用にも良くない影響を及ぼしてしまう可能性があります。口コミサイトやSNSの存在があるからです。悪い評判として広がってしまうと応募者の減少、離脱や辞退の発生確率を高めてしまいます。面接をする上での心得を教育しておくことも必要です。

自社に合う手法やツールの選定

現在は、定番のものから新しいものまで、さまざまな採用手法があります。手法の多様化に併せるように、採用活動の中で必要となるツールの数もその種類も豊富です。採用市場にはトレンドがあり、流行り廃りがあります。その市場に合わせることも大事ですが、選定判断の基準は「自社」です。

どんなに良いと言われる採用手法も、最先端技術を用いて開発されたツールも、自社の採用フローや実際に活用する従業員に合っていなければ、採用効果につながりません。かける時間も経費も無駄になってしまうだけです。

他社の成功事例は魅力的に見えるものですが、そもそも活用する社員が各社で異なります。効果は採用スキル、ITリテラシー、採用業務量、社内体制などに影響を受けるのです。「自社には何が必要か」をよく考え、費用対効果の高い手法やツールを選定することが大切です。

求める人物像の明確化

採用業務には、さまざまな媒体やツールが関わります。どのようなことを、何を使って、どのように進めていくかは、すべて自社が「求める人物像」を基準にして決めていきます。そうでないと、的外れの採用活動をしてしまう可能性があります。

採用とひと言でいっても、業務工数は多岐にわたります。手法、活用するツール、利用する媒体、コミュニケーション手段なども、複数使用になることがほとんどです。業務はより複雑化、煩雑化していくでしょう。効率的に進めるためにも、活用する媒体やツールが的確である必要があるのです。

一つ一つの求人案件に対して、できるだけ具体的に、どのような人材が欲しいのかを明確化しておきましょう。採用プロセスのすべてに影響を与える重要な要素です。慣れないほど時間がかかるものですが、求人広告や採用サイトの中身を考える指針にもなるため、採用活動のはじめのステップとして徹底されることをおすすめします。

マッチングの精度を高める

採用では、「自社や人材が携わる仕事」と「人材」とのマッチングの精度を高めることが重要です。言うまでもなく、ミスマッチはお互いにとってマイナスを招きます。能力が期待値より低ければ、役割を果たしきれず、業務の停滞や周りの社員にしわ寄せがいく可能性があります。思うような成果が出せない社員は、不満やプレッシャーが膨らむばかりで、高いパフォーマンスも見込めません。積み重なれば、早期の離職もあり得ます。お互いに活動の振り出しに戻ってしまうのです。

採用で候補者を探すときは、どうしても候補者の経歴や経験、スキルなどに意識が向きがちです。しかし、その前に、自社のことをよく理解しておく必要があります。自社に合う優秀な人材を探しながら、相対する自社のことが漠然としていては、マッチングは難しくなります。

何となくのフィーリングで選ぶ要素が増えるほど、あとでミスマッチが発覚しやすいのです。選定がぼやけてしまわないよう、自社人材の現状、採用目的、求める人物像、強み、弱み、市場での知名度やポジション、受けているイメージや評価など多角的に自社分析しておかれることをおすすめします。

採用にマーケティング手法を取り入れる

現在は、企業の採用活動も、求職者の求職活動も、そのプロセスのほとんどがオンラインを通して行われています。求職者は、それだけではないとは言っても、やはりWebを通して企業や仕事に関する多くの情報を集めています。Webの活用率が高まるほど、Webを使って採用活動をすることの意義は大きくなります。入社意欲を喚起するチャンスは、Web上にも広がっているということです。

そのため、近年では、採用にもマーケティング手法が有効という認識が浸透してきています。採用時だけの短期決戦ではなく、たとえそのときに転職を考えている人材でなくても、時間をかける継続的なコミュニケーションの中で確実に入社意欲につなげていくナーチャリングも取り入れられています。

求職者の価値観や働き方の選択肢も多様化する一方で、デジタル化が企業レベルに浸透し、進化し続けています。人材の採用から入社後までを含め、個々の状況を知ることも、きめ細かい対応をすることも空論ではなくなったのです。人材の獲得競争が激しくなる中、企業の採用マーケティングの手腕も問われ始めています。

まとめ

人材確保の目的だけでなく、組織力を向上させ、自社の競争力を挙げるために、中途採用を行う企業も増えています。良い人材からの応募を集めるためには、自社の魅力を全面に打ち出し、企業や仕事についての理解を深めてもらうことが大切です。

そのための戦略の一つとして、採用オウンドメディアの活用をおすすめします。掲載できるコンテンツの自由度が高いため、理解度を高める情報を発信しやすい媒体です。効果的な発信によって、エンゲージメントの高い人材の応募や採用が実現できるでしょう。

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